ピロリ菌検査・除菌(ピロリ菌外来)

ピロリ菌とは

ピロリ菌とはピロリ菌は日本人の2人に1人の割合、40歳以上では7割の人が感染していると言われています。正式にはヘリコバクター・ピロリ菌(H.pylori)といい、胃の中に感染している、らせん形の細菌です。 ピロリ菌は胃粘膜上の粘液中に生息しており、慢性的に炎症を起こし、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)や消化性潰瘍の原因となります。さらにはピロリ感染によって引き起こされる慢性胃炎が胃癌の発生に強く関係することが明らかとなっています。ピロリ菌感染は、小児期(5歳まで)に感染すると言われ、5歳過ぎると免疫力の増加などで慢性感染はしないとされています。感染経路は、諸説ありますが、生活の衛生環境が大きいとされ、日本では、生活の衛生環境の整備(とくに上下水道の完備など)などにより若い年代ほど感染率は低下してきています。

ピロリ感染症と胃癌との関係

ヘリコバクター・ピロリ学会発行の「ヘリコバクター・ピロリ感染症の診断と治療のガイドライン」によると、日本におけるピロリ菌未感染に比べた現感染者の胃癌リスクは、15倍以上とされています。ピロリ菌感染は、40歳以下の若年者に生じる胃癌を含めて、分化型・未分化型胃癌のいずれのリスクも上昇させることが分かっています。このため、ピロリ菌感染防止による胃癌の予防効果は大きい事は、間違いありません。ただし最近の知見では、ピロリ菌感染者においては、除菌治療成功後の胃癌のリスクは低下するのですが、除菌しても、胃癌の発生リスクは、ピロリ菌未感染者に比べると高いままです。では、胃癌のリスクをいかに減らすかは、ピロリ菌感染による胃炎(萎縮性胃炎)が進行する前の早い時期に除菌治療を行うほど、胃癌予防効果は高いことが分かっています。よってピロリ菌感染が分かった段階で、いかに早く除菌することが大切になってきます。またピロリ菌除菌後も、リスクは慢性胃炎(萎縮性胃炎)が進行しているほど高いままですので、その後の定期的な内視鏡検査による経過観察が重要です。

ピロリ菌除菌治療の保険適用

ピロリ菌除菌治療の保険適用ピロリ菌感染症は、当初は、保険適用は、①内視鏡治療後の早期胃癌、②胃潰瘍、十二指腸潰瘍、③胃MALTリンパ腫、④特発性血小板減少性紫斑病に限られていましたが、2013年2月から、ピロリ菌感染による慢性胃炎にも適応が広がりました。ピロリ菌は抗生物質に耐性のあるものもあることから、除菌治療は100%成功するものではなく、失敗することもあります。そのため、保険診療でも、初回の除菌治療(1次除菌)で失敗した場合には抗生物質の種類を変更して2回目の除菌治療(2次除菌)が可能です。1回目の除菌成功率は現在、除菌製剤の発達により92.6%とされていて、1次除菌が失敗しても2次除菌で成功率は98%とされています。なお、3回目の除菌治療も可能ですが、3回目以降は保険適用されないため、自費診療になります。

自費診療となるピロリ菌検査・除菌治療

胃内視鏡検査を受けない場合

健康保険適用でピロリ菌検査や除菌治療を受ける場合、胃内視鏡検査を受けることが必須になります。また会社の健診や人間ドックで胃内視鏡検査をうけ、慢性胃炎の診断がされていると証明出来る場合も、検査を受けた日時と検査施設名が分かれば、当院で保険診療でのピロリ菌感染診断や、ピロリ菌除菌治療は保険で可能です。しかし胃内視鏡検査を受けない場合、ピロリ菌感染検査や除菌治療は保険適用されません。

3回目以降の除菌治療

除菌治療が保険適用されるのは2回目(2次除菌)までであり、3次除菌以降は保険適用されず自費診療になります。

決められた抗生物質以外を使う場合

保険適用の除菌治療では、抗生剤は、クラリスロマイシン(クラリス)とサワシリン(ペニシリン系抗生剤)を使うことが定められています。これ以外の抗生物質を使う場合には、保険適用されません。とくにペニシリンアレルギーなどがあり保険診療で使われる抗生物質が使えず、保険適応で決められた以外の他の抗生物質を用いる場合には1回目・2回目でも自費診療になります。ペニシリンアレルギーで保険適応でない抗生剤で除菌希望の場合、是非ご相談ください。

除菌治療の流れ

胃内視鏡検査で慢性胃炎(萎縮性胃炎)の存在を確認し、ピロリ菌現感染を疑い、ピロリ菌感染検査を行います。これらの条件を満たし、陽性になった場合には、除菌治療が可能になります。

治療

ピロリ菌除菌のための抗生物質2種類と、効果を促進する胃酸分泌抑制剤(PPI)を1週間服用します。当院では除菌では一番除菌成功率の高い内服薬の組み合わせで除菌治療を行っています。当院で使用する除菌治療薬は、下記です。

1次除菌

  1. タケキャブ錠(20mg) 1回1錠 1日2回 朝・夕食後 7日間
  2. サワシリンカプセル(250mg) 1回3カプセル 1日2回 朝・夕食後 7日間
  3. クラリス錠(200mg) 1回1~2錠 1日2回 朝・夕食後 7日間
(上記薬剤を飲みやすくパックにしたボノサップパック400または800 1日1シートを1日2回に分服 朝・夕食後 7日間を使用しています。)

2次除菌

  1. タケキャブ錠(20mg) 1回1錠 1日2回 朝・夕食後 7日間
  2. サワシリンカプセル(250mg) 1回3カプセル 1日2回 朝・夕食後 7日間
  3. フラジール内服錠(250mg) 1回1錠 1日2回 朝・夕食後 7日間
    (上記薬剤を飲みやすくパックにしたボノピオンパック1日1シートを1日2回に分服 朝・夕食後 7日間を使用しています。)

除菌判定

除菌の成功判定は、除菌治療薬を服用終了後から4週間以上経過しないと正確に判定できないため、服薬終了日から4週間後に除菌治療判定に一番正確であるとされる尿素呼気試験にて除菌成功かどうかの判定検査を行っています。
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