便秘について
程度も様々で、原因も様々にあるのが便秘です。
医学的には、3日以上排便がないものを便秘と定義はしますが、必ずしも全てが、異常とか治療が必要とは限りません。自分が苦しいかどうかがまずは判断の基準になります急に出てきた便秘には、早期の治療が必要な疾患(大腸癌など)が隠れている場合もあり、要注意ですが、なによりも慢性的な便秘は生活のさまざまな場面に支障が生じることがあります。便秘は、近年非常に多く、市販薬の便秘薬も様々なものがあり、中には内服しても必要量がどんどん増えて、便秘を進行させるものもあり、その内服には注意が必要です。便秘が長く続く場合には早めに消化器内科を受診して原因に合わせた適切な治療を受けるようおすすめしています。
便秘のリスク
便が体内に長くとどまることで腐敗菌が増加して腸内環境が悪化し、皮膚トラブルや肥満などに関与することが指摘されています。便秘では排便時に強くいきむため、肛門周囲の組織に大きな負担をかけ、痔の発症リスクも上昇します。慢性便秘が大腸癌のリスクを高めるというエビデンスは全くありません。急な便秘では排便異常の一つの可能性として、考える事もあるものではありますが。大腸癌の専門家としてそこはキチンと言い切ります。
市販の便秘薬の常用も便秘の症状を悪化させることがよくあります。原因によって適した薬の処方は変わり、効果の出方にも個人差がありますので、薬は原因を見極めた上で処方する必要があります。また便秘の解消には、食事の内容の見直しや運動など生活習慣の改善も行う必要があります。当院では便秘の種類や原因などを見極め、便秘の治療も、慣れない便秘薬を一人一人の状況にあった処方で提案、処方し、ご指導しています。当院院長も過敏性腸症候群と慢性便秘患者で気持ちはよく分かるというスタンスです。お困りの方は、是非ご相談ください。当院はこれまで、多くの便秘の患者様の症状改善の実績があります。たかが便秘、されど便秘。治療には秘訣があります。
便秘の原因
原因疾患がある器質的便秘と、腸の機能的な問題(腸の動き)で生じている機能性便秘に分けられ、器質的便秘の場合には原因疾患の治療が必要です。器質性便秘を起こす疾患には、大腸がんのほか、多くは薬剤性便秘、婦人科的なホルモンバランスによるもの(更年期、ピルなどホルモン療法を始めたら便秘になったなど)など様々な原因があり、まれですが長年の甲状腺機能低下症などの内科疾患によって便秘になっているケースもあります。まずは、こうした原因疾患がないかを最初に調べることが重要です。機能性便秘には、高齢によるものなど腸の張りなど皮膚と同じように低下して動きが悪い弛緩性便秘、腸が精神的な原因やホルモンバランスにより緊張して生じる動きが低下している真の機能性便秘、に分けられます。器質的便秘の場合にははやく原因を追求して対処していくことが大事です。機能性便秘には、それぞれの原因(生活習慣やホルモンバランスなど)を見極めて、それにきめ細かく合わせた治療や生活習慣の改善が必要です。
便秘の診察・治療の流れ
問診
便秘外来では、特に問診が一番大切です。排便の状態について、既往症・服用している薬、食欲の有無、便秘以外の症状、ライフスタイルなどについてうかがっていきます。問診の要は、慢性的なのか、(子供の頃、若いころからなのか)、女性の場合、性周期に伴い変化があるのかなどや排便状態は、回数や便の形状、腹痛を伴うかなどのポイントがあります。また、個々人により特にお悩みになっている点も大事で、排便に関する理想像などについてもうかがっていきます。
検査
便秘の有無やパターンは、一番わかりやすい検査は、腹部単純レントゲン検査です。腸のガスの有無や便塊の有無などはレントゲンでよく分かります。その上で必要に応じて腹部超音波検査、全大腸内視鏡検査などを行っていきます。
腹部単純レントゲン検査
29歳女性 機能性便秘
腹部単純レントゲン像では、腸の動き(蠕動)機能が落ちていることで、大腸内に空気の貯留と骨盤内の直腸まで便塊が貯留していることが分かります。
診断と治療
検査結果や状態をわかりやすくご説明し、原因に合わせた治療をご提案しています。相談しながら最適な治療法を決めていき、それにそった治療を行います。現在、便秘には様々な新薬も出ています。ただ当院の長年の経験では、慢性便秘は、機能性便秘であることがほとんどで、新薬よりは、旧来の薬剤に併用して何よりも様々な種類の漢方での治療が、効果があることが分かっています。原因、便秘のタイプ、特にお悩みの点、ライフスタイルなどを考慮して適切な処方を行っています。便秘の治療は、一人一人違い、その人にあう内服をトライアル&エラーで粘り強く探していくことが大切です。これまで他院の治療では思うような効果が得られなかった方もご相談ください。